育児・介護休業法には、様々な両立支援制度が定められています。
この記事では、両立支援制度の一つである、育児休業制度に関して解説します。
Contents
育児休業制度とは
育児休業制度とは、子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで、申出により育児休業の取得が可能になる制度です。
また、産後8週間以内の期間に育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても申出により再度の育児休業取得が可能です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
その他の両立支援制度
短時間勤務等の措置
3歳に達するまでの子を養育する労働者について、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務の措置(1日原則6時間)を義務づけ
子の看護休暇制度
小学校就学前までの子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日を限度として看護休暇の取得が可能。半日単位での取得も可能
時間外労働の制限
小学校就学前までの子を養育する労働者が請求した場合、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働を制限
転勤についての配慮
労働者を転勤させる場合の、育児の状況についての配慮義務
所定外労働(残業)の制限
3歳に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、所定外労働を制限
不利益取扱いの禁止
育児休業等の申出・取得等を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止
深夜業の制限
小学校就学前までの子を養育する労働者が請求した場合、深夜業を制限
育児休業等に関するハラスメントの防止措置
上司・同僚による育児休業等の制度又は措置の申出・利用に関する言動によるハラスメントを防止する措置を義務付け
ただ、残念ながらあまり認知はされていない気がします。
育児休業の趣旨
男女の「仕事と育児の両立」を支援するためです。
積極的に子育てをしたいという男性の希望を実現するとともに、パートナーである女性側に偏りがちな育児や家事の負担を夫婦で分かち合うことで、女性の出産意欲や継続就業の促進にもつながります。
また、急速に進む少子化の流れから、年金や医療などの社会保障制度が立ち行かなくなってしまうという危機的な状況にあり、次世代を担う子どもたちを、安心して生み育てるための環境を整えることが急務となっています。
その環境整備の一環として、育児休業制度などの充実をはかり、男女ともに育休取得の希望の実現を目指しているのです。
(厚生労働省イクメンプロジェクトホームページより抜粋)
私の会社はスウェーデンが本社なのですが、スウェーデンよりも手厚かったです。
(ただ、スウェーデンではほぼ全員が育児休業を取得している)
社会として、子育てを応援する制度で、ぜひ取得が広がってほしいものです。
育児休業の現状
男性の育児休業取得率は7.48%(2019年度)にとどまっていますが、育児休業の取得希望がありながら取得できなかった男性社員の割合は37.5%にものぼります。
(厚生労働省イクメンプロジェクトホームページより抜粋)
取りたいのに取れない。
世界一の制度を作っているのに使えない現状がもどかしいですね。
育児休業取得の条件
(2021年の法改正で短い場合は2回に分けて取得できる可能性あり)
詳細は下記のページをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html
育児休業の期間
原則として子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間において育児休業が可能です。
子が1歳に達する時点で、労働者本人又は配偶者が育児休業をしており、かつ保育所に入所できない等、休業が必要と認められる場合においては、子が1歳6か月に達する日までの期間、事業主に申し出ることにより育児休業をすることができます。
1歳6か月に達する時点で同様の状況であれば、最長で2歳に達する日までの期間に延長することが可能です。
厚生労働省ホームページより
育児休暇・休業を取得したが期間が希望通りではなかった(短かった)と回答した者の希望期間は「8日〜1ヶ月」が約半数
約8割の取得者が7日以内
とのことです。
制度としてあっても、中々調整が難しいようです。
私は双子だったこともあり、1年の育児休業で調整出来ました。。
育児休業給付金
いくら法律上の権利として休業することができるにしても、その間の生活費はどうすればいいのか。
育児休業制度があることを知った私の最初の疑問でした。
育児休業給付金は、育児休業中の労働者に支払われる給付金(非課税)です。
育児休業の開始前に、ハローワークに必要書類をまとめて申請することになります。
【初回の申請に必要な書類】
1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
2.育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
※個人番号欄にマイナンバー(個人番号)を記載ください。
3.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等(1.、2.に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類)
4.母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類
育児休業給付金の額は
「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)」により、算出します。
・平均して月額20万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額13,4万円程度、6か月経過後の支給額は月額10万円程度
・平均して月額30万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額20,1万円程度、6か月経過後の支給額は月額15万円程度
(私は1年の取得だったので、7ヶ月目からは、少し節約する必要が出てきそうです。)
会社を説得
私が会社を説得した流れを共有します。
下調べ
・国の定める育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、労働基準法
・会社の制度
・育児休業取得の手続き
事前に上記のような情報を集めました。
上司に相談(取得開始日から4ヶ月前)
・育児休業を取得したい理由
・育児休業取得が、自分にとってどのような意味を持つのかを説明
・いつから、いつまで、どのくらいの期間取得したいのか
・現状の仕事の進捗状況、引き継ぎの意向表示、引き継ぎ内容の報告
引き継ぎを抜かりなく行うこと、休業中も短時間ならサポートするということを伝えました。
また、下調べした下記のを共有しました。
① 育児休業期間中は、社会保険料(健康保険、厚生年金保険)が本人負担、事業主負担とも免除される
② 両立支援等関係の助成金
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/koyouantei.html
(私の会社は57万円の助成金が支給されたそうです。)
③ 育児休業に関する情報
https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/faq/
角が立つのが嫌だったので…
相談後
・業務を整理、引継ぎを開始(業務時間外も対応)
・情報共有(自分しか知らない情報など)
・社内外の関係部署に報告(引き継ぎ関連の部署のみ)
育児休業開始後
・後任と30分/日程度の質疑応答を、休業中も対応しています。
(基本的に育児休業中は働いたらいけないですが、交渉の材料にしました。)
育児介護休業法の改正案(2021年改正予定)
2021年に育児介護休業法が改正され、更に充実した制度となる予定です。
要点は下記の通りです。
① 企業に対して、妊娠や出産を申し出た従業員(男女問わず)に制度の周知や取得の意向確認を義務づける。
② 大企業(従業員1000人以上)には、男性の育児休業取得率を毎年公表するよう義務づける。
③ 男性が柔軟に育休を取得できるよう、産後8週間を対象とした「出生時育休」を新設する。
④ 男女問わず、1歳までに育児休業を2回に分割して取得できるようになる。要件を満たせば、1歳以降もさらに分割が可能になる(「出生時育休」と併用すれば、男性は1歳までに計4回の育休取得が可能)。
実際に1年の育児休業を取得した所感
かわいい娘二人と一緒にいて色々世話していると、人生で他に感じたことのない幸せを感じます。
また、赤ちゃんの世話はかなり体力を使い、睡眠時間も確保するのが難しいので、妻一人に任せるのはとても出来ないものだと感じました。ワンオペ育児をされているお母さんたちはより感謝されるべきだと思いました。大変すぎると思います。
二人三脚で、子供を育てるという目標に向かって協力するため、妻ともより親密になりました。
いくら育児休業給付金があるにしても、今までの給料からすると7割程度なので、金銭面では若干負担がありますが、メリットに比べると些細なことに感じます。
取ってよかったし、取るべきと断言出来ます。
まとめ
・男女問わず、育児休業を申請することができる(諸条件有り)
・期間は最大で1年
・会社は拒否出来ないが、円満な関係を保つため、労働者側の気遣いも必要
・家族のために、ぜひ父親も取ってほしい
ご参考にしていただければ嬉しいです。