【米国企業分析】Fiverrはフリーランサーと顧客をマッチングするプラットフォーム
Fiverrは世界最大級のフリーランサーと顧客をマッチングするプラットフォームです。
このアイコンもFiverrで注文したものです。

この記事では、米国株のFiverr(FVRR)に関して解説します。

資料はすべて、Fiverr(FVRR)のホームページからです。

https://investors.fiverr.com/investor-overview/default.aspx

※株式の購入を推奨しているわけではこざいません。投資する場合は、自己責任でお願い致します。

Fiverrとは

  • ミッション:「ともに」世界の働き方を変える
  • 設立:2010
  • グローバル:ニューヨーク、ロンドン、ベルリン等にオフィスがある
  • 上場:2019年6月
  • 従業員数:545
  • 2021年Q1売上:$68M(前年対比+100%)

Fiverr:利用者にとっての価値

  • 透明性と確実性:価格、作業範囲、クオリティー、期限
  • 費用対効果
  • 広範囲なデジタルサービスへのアクセス
  • 様々なフリーランサーのサービスを利用可能
  • サポート
費用対効果が非常に高い印象でした。
右のアイコン、5ドル(約550円)で1日で完成しました。
過去の制作品が確認できるので、安心して利用することが出来ました。

Fiverr:フリーランサーにとっての価値

  • 価格交渉不要
  • 営業不要
  • 柔軟で自立的な仕事が可能
  • 支払いでモメることがない
  • ビジネスサポート
  • フリーランサーとしての信用確保
過去のサービスが残るので、そのままフリーランサーの信用になると思いました。
過去のサービス提供数が多く、評価の良い方に頼みたくなるし、良い評価を貰えるようにフリーランサーの方も努力するでしょうから好循環ですね。

Fiverrはテクノロジー企業

  • 2020年にはFiverr Business・英語以外の複数の言語のサイトを運用開始
  • 2021年にはサブスクリプションモデルを開始
新しいサービスをどんどん追加しています。
日本語サイトの運用も始めてほしいです。

未来の働き方

  • 長期雇用からフリーランサーに
  • アナログからデジタルへ
  • オフィスから離れ、好きな場所・好きな時に働く文化に進化
  • 全世界を相手に働く
  • 働いた時間ではなく、結果で対価を得るシステム
コロナになってから、オフィスに行くことがかなり減りました。フル在宅勤務で問題ないことがわかってしまった印象です。

より多様な働き方を求める人が増えていると思いますし、Fiverrには強い追い風になっているように思います。

Fiverr:市場規模

  • 米国のフリーランサー市場の予想規模:8000億ドル以上
  • オンラインフリーランサーに適した市場:1150億ドル以上
  • Fiverrでの売上:1億8000万ドル → 全体市場の0.2%
米国だけでもこれだけの成長の余地があるとのこと。
まだまだ成長出来そうですね。

  • 1994年のe-commerceのように、現在のフリーランサー市場は変化が始まったばかり

Fiverrのビジネスモデル

  • アマゾンで買い物をするように、必要な時に必要なサービスを利用する(便利!)
  • 利用者とフリーランサーをつなげるだけではなく、成果物まで管理
  • 費用・期間が透明
いくらかけたら何時までにどのくらいの成果物を得られるのかが、発注する前に分かるから安心して利用することが出来ました。

Fiverrの顧客満足度

  • 利用者:68
  • フリーランサー:81
NPSはサービスを10段階で評価し、9と10の人を推奨者、
0から6を批判者とし、下記のように算出します。
「推奨者の割合ー批判者の割合=NPS」

利用者・フリーランサー共に満足度が高いです。

Fiverr:コロナが追い風

  • コロナで利用者数が急増、株価が急上昇しています。
  • 良質なフリーランサー確保→良質の利用者確保→より多くのフリーランサー確保→より多くの利用者確保
好循環ですね。
  • 2020年3月2日終値:34.34
  • 2021年5月28日終値:205.31

約7倍になっています。

Fiverr:収益構造

  • フリーランサーのサービスが100ドル
  • 利用者がFiverrに105ドル支払う
  • 決済後サービス開始
  • プロジェクト完了後、14日後に利用者の同意があった場合にFiverrがフリーランサーに80ドル支払う
利用者から5%、フリーランサーから20%の手数料をもらう構造です。
フリーランサーからすると20%支払うことになるのに、極めて高いNPS(満足度)であることをみると、世界中の利用者とのビジネスができることに価値をおいているように思います。

Fiverr:他のサービス

  • E-Learningのプラットフォーム、ファイバー内での広告、フリーランサーのためのソフトウェアサブスクリプション、など
割合としては小さいですが、広告もFiverrの規模が大きくなると良い収入源になりそうですね。
(フリーランサー業界のAmazonを目指している気がします。)

Fiverr:売上の成長

  • 前年同四半期対比では+100%
  • 前年対比(2019と2020年)では+77%
ものすごい成長です。コロナが追い風になっているようです。

Fiverr:利用者の増加

順調に増えています。

Fiverr:利用者毎の利用額

こちらも増えています。

新規顧客と既存顧客

  • 2020年は45%が新規顧客から、55%は既存顧客からの売上でした。
NPSの高さだけではなく、既存客からの売上の割合が高いということは、既存客がFiverrに満足している証拠のように思います。
Life Time Valueの高いビジネスモデルだと思います。

EBITDA収益率

  • 2021年Q1で再び赤字に転落
  • 2020年のEBITDAは+5%
2020年にEBITDAが初めて黒字になりました。
成長率は依然として高く、これからが楽しみです。

Fiverr:長期の成長戦略

  • フリーランサーの利益につながるサービスを次々開発
    →ハイレベルなフリーランサーを囲い込み→売上増加
  • ハイレベルなフリーランサー増加→利用者増加
  • グローバルに展開
まだグローバルな展開は途中ですが、現時点でも極めて高い成長率を維持しているので、フリーランサーの囲い込みに成功すれば成長し続けると思います。

現時点では7つの言語に対応しているとのことです。
日本語対応もして欲しいですね。

2021年Q1決算資料

ハイライト

  • 昨年のQ1に対し、売上+100%増
  • Fiverr Businessの登録者は、通常のマーケットプレイスに比べより頻繁に利用し、利用額は約3倍
  • サブスクリプションが8→25カテゴリーに増加
素晴らしい成長ですね。

数字

  • 利用者数が前年対比+56%で、380万人
  • TAKE RATE(ホームページに入って、購入に至る割合)が約27%
  • GROSS MARGIN(粗利)が83.1%
利益率が高く、利用者数、売上共に勢い良く成長しています。

見通し

売上の見通し、EBIDTA共に、上方修正しています。
前年対比60%成長ってすごい…

2023年の予想株価

数字はSeeking Alphaより抜粋(2021年4月時点)

予想株価

Target Price = Revenue per share * PSR

アナリストの売上予測に、PSRをかけて簡単に試算してみます。

Revenue per share

2023年売上予測(アナリスト)

$489.23M

発行株式総数(Shares outstanding):

35.12M

Revenue per share

489.23M / 35.12M = $13.93

PSR

Fiverrの現在のPSR

32.25(2021/06/01時点)

過去5年のPSR平均

16.79

現時点の株価(2021/06/01時点)

$205.31

2023年の予想株価

過去5年平均PSR

$13.93 * 16.79 = 233.88 (+14%)

現在のPSR

$13.93 * 32.25 = 449.24 (+118%)

現在のPSRを維持するなら、2023年までに倍程度になりそうですね。

Fiverr:懸念点

PSRが高い

32.25とかなりプレミアムが乗っていると思います。

競合

UpWork(UPWK)、Freelancer、Guru、TaskRabbit等、多くの競合がいます。競争が激しくなってくると、現在フリーランサーから得ている20%の手数料を下げざるを得なくなる可能性があると思います。

コロナが収まった後の雇用市場

コロナ以前に完全に戻ることはないかもしれませんが、雇用市場の変化のスピードが遅くなる可能性はあると思います。

Fiverrを経由せず、利用者とフリーランサーが直接繋がる

Fiverrに手数料払いたくないから、直接やろうとするフリーランサー・利用者は出てくるかもしれません。特に人気フリーランサーの場合は、十分な実績をFiverrで積んだら、常連の利用者と直接やるかもしれません。

所感

2021年のQ1が前年対比で+100%とすごい勢いで成長していました。
競合もいるものの、業界全体が伸びているようなので、
Cloudが伸びていると、Amazon、Google、Microsoft共に伸びるように、あまり気にしなくても良いかと思いました。

コロナによる働き方の多様化が追い風になり、今後数年間非常に需要のあるビジネスモデルだと感じました。

実際にアイコン作成をインドネシアの方に頼んだところ、1日で満足できるクオリティーのアイコンが約500円で納品され、数回の微修正対応もしていただけました。
利用者としてのFiverrの体験談は別記事にしようと思います。

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